Radio Show Case 第14回 (snoweffect)

snoweffect / photograph by Jimmie Wing

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インタビュー

Radio307
snoweffectの結成のきっかけや名前の由来、これまでの活動など、バンドの簡単なプロフィールをお聞かせください。
石川
吉祥寺「いせや」で焼き鳥を食べつつ「ユニットを組まないか?」と。
竹村さんとは一緒にライヴやってたりしてたのですが、コンビネーションの組み方がすごく良くて、そのうち一緒にレーベルを立ち上げる事になって2人を誘いました。
竹村
名前は、吉祥寺のビレッジバンガードで本とかみながらだったでしょうか。
当時、一斉を風靡したiMacにsnowというカラーが出て、そこでまた時代が変わった感じがしたんです。実際それ以降のmacってsnowのカラーが基調になってると思うんですが、それとデスクトップに雪を降らせるsnoweffectというアプリケーションがあって、その無駄さにこれかなあと。
結成後にウイグル人の美少女mukkaiddais嬢を迎えてレコーディング、1st『Desktop Caffeine』をリリース、ニューヨークの音楽祭に呼ばれてクラブでライヴやったりしました。2002年から桑原茂一氏に見いだされてラジオ音楽を手伝うように。2003年頃から新人発掘をやり出してコンピレーション『water green』や、PsysExの糸魚健一氏とともにFiroをリリースし世に紹介。京都法然院での「電子音楽の夕べ」を実現し話題に。このころから新作準備にとりかかる。2004年にはクラブキングの音源制作の傍らheprcam(竹村)、オリエンタルホームワード (石川)、オトグラフ、Firo (星)など若手のフルアルバムをプロデュース。京都・細見美術館での琳派展と香老舗松栄堂とのコラボレートを実現するなど涼音堂のプロデュースチームとして精力的に活動。落ち着いた頃に大沢温泉に行き『rustic physiocrat』をレコーディング。2005年『rustic physiocrat』発売。リリースパーティとしてPsysEx、Firoとともに京都・旧嵯峨御所 大覚寺 (!)にて『サクラチルアウト』開催。
Radio307
今月に発売されたアルバム「rustic physiocrat」のコンセプト、聴き所、制作におけるエピソード、タイトルの由来などについてお聞かせください。
snoweffect
コンセプトは「田舎ライフ」です。といっても田舎に住もうとかではなくて、東京にいても田舎ライフ、京都にいても田舎ライフ。モバイルテクノロジーの発達で都会でも田舎の生活が出来るという意味です。これを作っていた2004年というのはものすごい時代の変わり目で、どんどん世の中の処理のスピードが早くなって、"グローバル何とか"は世界をその中に取り込もうとしている。10年前には夢のあるものに見えた物が気付いた時には自分たちも戦争にまで巻き込まれているという便利すぎて何もできなくなっていくという恐ろしい状況になっている訳です。かといってそれに反対しているだけでは意味が無く、これはもう何とか頓知の利いた反撃を開始しないといけないという空気があったんです。
physiocratとは18世紀フランスで流行した「重農主義」の事で「お金が増えても価値は増えない」と考えた人たちです。価値は生産 (農業)によってしか増えない。時代背景も環境も全然違うのですが、こういうとんでもない思想が時代を作って行った事が面白いなあと思います。何もかもを外部化して高速で生活を進めなくてはならない時代より、自分たちで工夫してなにか作ったり出来る時代の方が創造的なのではないか。田舎のほうが大変なんですけど、クリエイティヴという面では田舎ライフのほうが有利だなと。「どんな田舎でも都会の生活が出来る」というのが世の中の流れなんでしょうけど、それでは彼らの思うつぼなので逆にどんな都会でも田舎ライフ (笑)このコンセプトはかなりいい線いってるなと自分で思います。 (笑)
侘び茶っていうのも室町時代応仁の乱後の殺伐とした時代に、京都という都市の中で山奥の風情を再現するというコンセプトに広まったもので、茶の心はすなわち田舎ライフだったりもします。花巻でレコーディングした時に、花巻の雰囲気がすごくいいなあと思って、ジャケの写真も大沢温泉や宮沢賢治が設立した羅須地人協会で撮ったりしました。羅須地人協会もrusticからとったという説もあって、「フィジオクラット」だけだと単なるアナクロな政治思想になってしまうんで、rustic physiocrat になりました。
竹村
制作のエピソードと言えば、やっぱり、大沢温泉に行って録音したことでしょう!
Radio307
「Powerbookとお茶」というコンセプトからスタートしたということで、メンバーの皆さんがそれぞれPowerbookの中に完結した制作環境を整えているように感じられますが、制作環境について詳しく教えていただけますか?
実は当初はデスクトップのポリタンクG4+cubase中心でpowerbookはサポート的な使い方でしたが、ibook G4の登場で作業がいよいよすべて携帯機で完結するようになってきました。音源はやっぱりアナログ音がいいのでMicro korgです。電池駆動どこでも持ち運べるところがいいです。
石川
基本的にはiBookでシーケンスソフトがLogic。音源はAudio UnitsプラグインがメインでNative instruments社等のソフトシンセやプラグインを使用、フリーダウンロードのプラグインも結構活躍しています。私は完全にMacOSX環境に移行し、現在ハード機材は特に使用していません。
竹村
僕の制作環境は、コンピューター2台 (ノート1台、デスクトップ1台)、ギター、マイクです。ギターやマイクの音をコンピューターに取り込んで、シーケンスソフト (Cubase)やMAX/MSPで加工してます。
Radio307
3人での楽曲制作の過程について、また、3人それぞれの役割分担があればそれについてお聞かせください?
石川
個々が制作した曲の断片やフレーズ、サンプルを3人でシャッフルしていく感じで、オーディオファイルでやり取りしています。
ある程度出来たら喫茶店に集まり意見を出し合って、最終的に石川氏がミックスするという作業です。いちばん大規模な作業は岩手県花巻の大沢温泉でフィールドレコーディングから行いました。
石川
あと今回はGarege Bandで制作された曲もあったので、最終的には私のLogicでGarage Band書類やオーディオデータを読み込み、私がMix作業を行いました。
僕と竹村くんが揃うといつもかなり気が狂ってるので、石川氏がかっちりまとめてくれて毎回なんとか形になるという感じです。逆に石川氏の素材を我々がぶち壊すのもかなりいい感じに仕上がります。
竹村
星さん・・プロデューサー、音ネタ。石川さん・・音ネタ、曲の詰め。タケムラ・・音ネタ、たまに曲の詰め。
Radio307
ライブ活動も行われているようですが、ライブでの魅力、また、ライブで意識していること等ありますでしょうか?
石川
3人でのライヴは色々な面でバランスを取るのが難しいです。あと機材トラブルも結構起きますので、そういったバランス、音質面や安定性を向上させたいと日々考えています。
こういう音楽をやっているアーティストにとってライヴは哲学的な場だと思います。一体何をしてライヴというのか、アーティストによって様々だと思いますが、個人的には予定外に単なる遊びが神がかった演奏になったり、逆に途中でフリーズしたり、会場の温度湿度や快適さも含めて、その場でしか出来ない音楽というのがライヴかなと思います。
竹村
ライブは、できるだけ、その場の即興性を重視で。
Radio307
影響を受けたアーティストはいますか?
石川
snoweffectとしてですと、ユニットとしてやっている以上、やはり星氏、竹村氏のアイディアには驚かされてばかりです (笑)
やっぱり細野晴臣氏からは音楽以上の部分で多大な影響を受けました。今回のアルバムで言えばミッキー吉野だとか、山下達郎とか、全く関係ないようで80年代直前の異様なテンションを持った日本の音楽家の仕事を聴きまくりました。表面的なことではなくあの時代の異様な感じを盛り込みたかったのですが、やっぱり力量的にもう比較にならないですね。
竹村
電子音楽以外だと、Miles Davis とか Gil Evans などです。電子音楽だと、最初はOKIHIDEさん、最近だとGelとかです。
Radio307
今後はどのような活動を行っていく予定ですか?
石川
ライブやプロデュース、その他の仕事も受け持っていますが私個人としては3rdアルバム制作に早いうちに取りかかりたいと思っています。
中心的にはレーベルのアーティストのプロデュースと、安田寿之さんプロデュースのコンピ「Monophonic ensemble」に参加します。あとクラブキングの仕事がかなりたまってるので (笑)時間のある限り作り込んで行きます。今年はアジアツアーもあるので日本や世界のいろんな場所でライヴやイベントをやりたいです。
竹村
名古屋でライブなど。
Radio307
最後にリスナーに向けてメッセージがありましたらどうぞ。
snoweffect
楽しんで聴いてください。
Radio307
ありがとうございました。

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